野菜のできは、未来のでき。
うんと長い目で種を蒔く農家さん

烏田 裕一さん

JAしまね島根おおち青年連盟邑智支部

野菜の成長も楽しみですが、子どもの成長はもっと楽しみだったりします。

野菜づくりは、町づくり。地元で採れる野菜をより栄養豊富に、より美味しく。持続可能な町への一助になることに、信念をもった本気の取り組みが美郷町にあります。

地元の野菜農家であり、JAしまね島根おおち青年連盟邑智支部に所属する烏田裕一さん(40)。10年前、当時ですでに全盛期に比べて耕作地が半分に減っていたこと、野菜の美味しさが昔食べた頃から変わっていると感じ、「地元の人が食べるもの」への安心・安全に強い関心を持ったことから農業の道へ。農薬を使わずに収量をあげる効率的な農業に取り組みつつ、地元の保育園・小学校に向けた食農教育*にも力を入れます。子どもたちが自分たちでさつまいもや白ネギを時間をかけて育て収穫し、食べる。食からも地元を知ってもらいたい、と話します。

*食育と農業をあわせたもの。食事のあり方や役割に加えて、食を支える農業に関しての知識・体験を含む教育。

子どもたちが野菜が美味しいということを知っている、それは町の未来をつくっていくことそのものでもある、とも烏田さんは考えます。「未来の消費者でもありますよね。野菜を好きな次世代が育てば、農家の需要を守ります。美郷町から出ていっても、それは全国の野菜農家さんに関わる話です」。

町内で優れた野菜をつくることの重要性について、こうも話します。「農薬を使わずに栄養価の高い野菜をつくる、それは食べる人の健康にも関わりますよね。ひいては、町の医療費削減にも繋がります」とも。

美郷町に、どんな町になって欲しいかと尋ねると。「食べるものに困らない町、というのが理想です。今日なんもないわあ、お隣さんになんかもらおうか、みたいなのが自然に成り立つ町」。
烏田さんの家から歩いて2分の、山くじらラーメンが大人気の洋食堂「またたび」の山本さんは時々「今日、白ネギあります?」とやってくるそうです。八百屋さんでなく、農家さんに直接聞いちゃう。野菜づくりで地道に取り組んでいく町づくり......栄養がいき渡るように満ち足りた町へ。

JAしまね邑智支店営農生活課

保育園・小学校と協力して、白ネギ栽培、サツマイモ栽培・焼き芋交流会など、子供たちと「つくり、たべる」機会を提供する食農教育活動に力を入れています。なかでも、町内産の野菜を使ったカレーを園児と一緒に作り食べるプログラム、その名も「愛菜カレーの日」は、子どもからも、その親からも人気を集める、定番のイベントとして親しまれています。

所在地:島根県邑智郡美郷町久保161
TEL:0855-75-1861

Photos by Yusuke Nishibe
Text by Sako Hirano (HEAPS)

本記事は2023年3月の取材に基づいて構成したものです。